やったね
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matsujyun_otaku816 2020年05月03日(日) 23:45:36履歴
イソレドゥノミゼ国は、毎年催されるボンチュール杯に出場を重ねてきた。しかし、この試合は、年を重ねるにつれて、エンジンの馬力に支配される世界になりつつあり、当国はエンジン性能に追従するのに精一杯であった。対して、当国の中央流体力学研究所であるアエルール・シミュルゾンテ社は、1920年には既に水上レース機としてフロートを排し、水中翼を設けた計画案をまとめており、当レースに新しい切り口を提案した。
そこから1922年に発足した"水上高速研究機計画"は、巨大な水槽を用いて、或いは既存の複葉水上機を改造して、幾度となく基礎研究が重ねられた。最初はスクリューからプロペラへとクラッチを用いて動力を切り替える形式であったが、これでは、機構の複雑化と重量増加は免れない。特に、低馬力な機体が、他の高馬力機に対して優位に立つためには、軽量化を突き詰めて加速性能で勝ることに他ならなかったのだ。
1925年には、現在のAerhrge 532 �困慮況拭∋邯概，�"Art 25"が、175馬力の発動機を搭載して作られた。この名前は、初号機の製作年である1925年から取られた数字であり、日本語で訳すと、25年式の建造物（製作物）といったふうの意味である。この時点で既に、逆ガル状の翼を浮力として、半没式の水中翼で離着水するというAerhrge 532 �困離灰鵐札廛箸�出来上がっていたのだ。（ただし、この時点ではまだ逆ガル翼の最下部に、浮力を確保するためのスポンソンが、水中翼の支柱を兼ねて張り出している為、Aerhrge 532 �困里茲Δ亡袷瓦房舁磴修里發里�フロートを兼ねている訳では無い。）
しかし、この機体は操縦性に難があった。逆ガル翼の内翼の強い下反角から来る、安定性の著しい欠如は、「玉乗りをしているような操縦性」というテストパイロットの言もある程である。離着水は激しい振動と強烈な水しぶきを発生させ、その水しぶきは操縦者の視界をも完全に奪ってしまう程だった。こんな散々たる操縦性のArt 25だが、加速性能は何よりも抜きん出た性能を示した。通常の単葉機とは思えぬほどの短距離離着水性能で、ほんの短い距離で水中翼が水面に現れてくると、そのまま200m程度を滑走して、やがて離水してしまう程であった。このArt 25は、当時としては悪くない227km/hという快速性を示した。
Art 25は、先進的な片持ち単葉機のようにも見えるが、厳密にはそうではない。Art 25は水中翼と主翼の桁構造、下に張り出したスポンソンとエンジン支持架を介して、複数のトラスに似た構造を構成しており、この水中翼や支柱が、張線や翼間支柱に代わって、主翼外部の支持架としても機能するからだ。
ここから、更なる高速化を求め、1927年のボンチュール杯を目標として、新たな実用機の設計が始まった。搭載する発動機は、�〜位姪蟇凸明僂虜鏝此↓⊇侘禄杜免罎硫�善、�Ｅ殞�V型エンジン（プロペラと水面の距離を離す為）を目標として、イモガーヴァ･オモンガヴァガーノ･オットー社のリヨンV型エンジンをベースに設計が開始した。しかし、このエンジンの設計主任であるジュルジュールが、ウニヤン大公国のカルトゥーシュキ飢饉事件の一報を知り、彼の嗜好品であるジャガイモのぞんざいな扱いに対する怒りで憤死したため、発動機の完成が大きく遅れてしまう。やむを得ず、アレレオ・カッシーニ社のAk 14エンジンを代用してArt 27が完成したが、間に合わせとして無理やり搭載された星型エンジンのAk 14には無理が多すぎた。プロペラを水面に接触させぬべく無理やり延長された延長軸とそれに伴う機首の延長、星型エンジンにより著しく拡大した前面投影面積と、それらの意図せぬ構造を支えるべくして増加した重量は、従来通りのフロートを持つ国内のエガエンニュ・アヴィオゾンテ社のライバル機にすら敗れるような、散々たる結果であり、Art 27は1927年のレースの参加を見送った。その2ヶ月後に、Art 27は着水時に大きな波に叩きつけられ大破、回収された残骸は修理不可能で、そのまま破棄された。
このArt 27の反省を踏まえて、アエルール・シミュルゾンテ社は、徹底した前面投影面積の削減を行った。コックピットはついに、胴体内へと完全埋め込み式となり、垂直安定板さえもがなくなった。重量削減にも力を入れ、機体は木製とアルミ合金などの複合材料とした。特に、軽量化は当時最新の技術が用いられた。強度が必要な木材には、フェノール樹脂を木材に染み込ませた、頑健で軽量なデルタ合板材を使用。腐食が予想されるアルミ合金部には、アルクラッドによるコーティングが施された。また、アエルール・シミュルゾンテ社の風洞実験で提唱された、翼端渦を削減できる"削ぎ上げ翼端"を採用し、誘導抵抗を軽減（これは現代の"ウィングレット"の先駆けとも言える）、垂直安定板を失った分の操縦特性を改善するべく、フリーズ式エルロンを採り入れ、アドバースヨー対策等の工夫が凝らされた。数々の最新技術を積極的に採り入れた本機は、まさに「技術の祭典」とも言えた。開発の遅れたリヨン系列エンジンはついにKM型として完成し、ここに水上高速研究機計画の集大成であるArt 28が誕生した。
Art 28は、1929年のボンチュール杯に参加するべく、レース機に相応しい空力洗礼を繰り返し行い、最大翼厚は初期に比べて翼弦長の14%程度後ろへ後退した。20年代末期のレース機たちの重量は、ついに2tへ達そうとする中で、試験機の中で最終形態のArt 28 M-2の重量は、徹底した重量の削減により、僅か1tにも満たない。極限まで出力重量比の改善を行った発動機のリヨンKM型のレイアウトは、空冷倒立V型12気筒にまとまった。離昇出力は482馬力を示し、前面投影面積の削減の結果、全長が前後に32cm伸びたが、原型のリヨンV型よりも85kgもの驚くべき軽量化を達成しており、その形状は原型を留めていない。最高速度試験の結果、最高速度は532km/hを記録、晴れてArt 28 M-2は"水上高速研究機"から、正式な"レース機"となり、名前は最高速度から由来して"Aerhrge 532 ��"と名付けられた。愛称はウーラガン（ハリケーンの意）。アイボリーホワイトとスカイブルーの鮮やかなツートンカラーで世間にその存在を知らしめた。当然、フロートを排し、水中翼を持ったこの奇妙な外見から、この機体が世界中の大きな注目を集めぬ筈もなく、各国の新聞社からの取材がアエルール・シミュルゾンテ社に殺到した。しかし、Aerhrge 532 �垢�完成したのは、丁度1928年度のボンチュール杯が終了してから半年が経った頃で、まだまだ次の1929年度に向けて更なる改良を施す猶予が残されていた。
Aerhrge 532 �垢鮃垢覆觜眄�能機に仕立て上げるべく、その鮮やかなツートンカラーのベールを脱いだ。デルタ合板とジュラルミンが露出した機体表面は、抗力削減のために精巧に磨きあげられ、フェノール樹脂のオレンジ色とジュラルミンのシルバーが眩く輝く新しい姿に生まれ変わった。この姿は、機体表面の塗装すらデッドウェイトと見なし、重量を削減したいという徹底した意志の表れでもあった。また、発動機のリヨンKM型には、さらにスーパーチャージャーが追加され、新たにリヨンKMR型として757馬力へとパワーアップした。（ただし、安全率ギリギリで設計されているこの発動機では、過給器を連続で使用するとエンジンが焼き付いてしまう恐れがある。）加えて、少しでも離着水を安全に行おうと、ウニヤン大公国の参加機体を参考にして、新たに格納式のペリスコープが追加された。この生まれ変わった姿には、新たに"Aerhrge 532 ��"の名前が与えられたが、ここで数字が"532のまま"であるのには理由がある。それは、Aerhrge 532 �困�改めて最高速度試験を行う前に、1929年度ボンチュール杯への参加が決定したためである。つまり、この1929年のボンチュール杯が、初めてAerhrge 532 �困虜嚢眤�度を試す場となったのだ。リヨンKMR型を搭載して、限定的とは言えど、757馬力もの怪力を手に入れたAerhrge 532 �困�、この場でどんな記録を刻むのかは、まだ誰にも分からない。 ただ、世界中から集まったたくさんの観衆と、広大な青い水平線の彼方だけが、精巧に磨かれて光を放つAerhrge 532 �� ウーラガンの出走を待つのみであった。
そこから1922年に発足した"水上高速研究機計画"は、巨大な水槽を用いて、或いは既存の複葉水上機を改造して、幾度となく基礎研究が重ねられた。最初はスクリューからプロペラへとクラッチを用いて動力を切り替える形式であったが、これでは、機構の複雑化と重量増加は免れない。特に、低馬力な機体が、他の高馬力機に対して優位に立つためには、軽量化を突き詰めて加速性能で勝ることに他ならなかったのだ。
1925年には、現在のAerhrge 532 �困慮況拭∋邯概，�"Art 25"が、175馬力の発動機を搭載して作られた。この名前は、初号機の製作年である1925年から取られた数字であり、日本語で訳すと、25年式の建造物（製作物）といったふうの意味である。この時点で既に、逆ガル状の翼を浮力として、半没式の水中翼で離着水するというAerhrge 532 �困離灰鵐札廛箸�出来上がっていたのだ。（ただし、この時点ではまだ逆ガル翼の最下部に、浮力を確保するためのスポンソンが、水中翼の支柱を兼ねて張り出している為、Aerhrge 532 �困里茲Δ亡袷瓦房舁磴修里發里�フロートを兼ねている訳では無い。）
しかし、この機体は操縦性に難があった。逆ガル翼の内翼の強い下反角から来る、安定性の著しい欠如は、「玉乗りをしているような操縦性」というテストパイロットの言もある程である。離着水は激しい振動と強烈な水しぶきを発生させ、その水しぶきは操縦者の視界をも完全に奪ってしまう程だった。こんな散々たる操縦性のArt 25だが、加速性能は何よりも抜きん出た性能を示した。通常の単葉機とは思えぬほどの短距離離着水性能で、ほんの短い距離で水中翼が水面に現れてくると、そのまま200m程度を滑走して、やがて離水してしまう程であった。このArt 25は、当時としては悪くない227km/hという快速性を示した。
Art 25は、先進的な片持ち単葉機のようにも見えるが、厳密にはそうではない。Art 25は水中翼と主翼の桁構造、下に張り出したスポンソンとエンジン支持架を介して、複数のトラスに似た構造を構成しており、この水中翼や支柱が、張線や翼間支柱に代わって、主翼外部の支持架としても機能するからだ。
ここから、更なる高速化を求め、1927年のボンチュール杯を目標として、新たな実用機の設計が始まった。搭載する発動機は、�〜位姪蟇凸明僂虜鏝此↓⊇侘禄杜免罎硫�善、�Ｅ殞�V型エンジン（プロペラと水面の距離を離す為）を目標として、イモガーヴァ･オモンガヴァガーノ･オットー社のリヨンV型エンジンをベースに設計が開始した。しかし、このエンジンの設計主任であるジュルジュールが、ウニヤン大公国のカルトゥーシュキ飢饉事件の一報を知り、彼の嗜好品であるジャガイモのぞんざいな扱いに対する怒りで憤死したため、発動機の完成が大きく遅れてしまう。やむを得ず、アレレオ・カッシーニ社のAk 14エンジンを代用してArt 27が完成したが、間に合わせとして無理やり搭載された星型エンジンのAk 14には無理が多すぎた。プロペラを水面に接触させぬべく無理やり延長された延長軸とそれに伴う機首の延長、星型エンジンにより著しく拡大した前面投影面積と、それらの意図せぬ構造を支えるべくして増加した重量は、従来通りのフロートを持つ国内のエガエンニュ・アヴィオゾンテ社のライバル機にすら敗れるような、散々たる結果であり、Art 27は1927年のレースの参加を見送った。その2ヶ月後に、Art 27は着水時に大きな波に叩きつけられ大破、回収された残骸は修理不可能で、そのまま破棄された。
このArt 27の反省を踏まえて、アエルール・シミュルゾンテ社は、徹底した前面投影面積の削減を行った。コックピットはついに、胴体内へと完全埋め込み式となり、垂直安定板さえもがなくなった。重量削減にも力を入れ、機体は木製とアルミ合金などの複合材料とした。特に、軽量化は当時最新の技術が用いられた。強度が必要な木材には、フェノール樹脂を木材に染み込ませた、頑健で軽量なデルタ合板材を使用。腐食が予想されるアルミ合金部には、アルクラッドによるコーティングが施された。また、アエルール・シミュルゾンテ社の風洞実験で提唱された、翼端渦を削減できる"削ぎ上げ翼端"を採用し、誘導抵抗を軽減（これは現代の"ウィングレット"の先駆けとも言える）、垂直安定板を失った分の操縦特性を改善するべく、フリーズ式エルロンを採り入れ、アドバースヨー対策等の工夫が凝らされた。数々の最新技術を積極的に採り入れた本機は、まさに「技術の祭典」とも言えた。開発の遅れたリヨン系列エンジンはついにKM型として完成し、ここに水上高速研究機計画の集大成であるArt 28が誕生した。
Art 28は、1929年のボンチュール杯に参加するべく、レース機に相応しい空力洗礼を繰り返し行い、最大翼厚は初期に比べて翼弦長の14%程度後ろへ後退した。20年代末期のレース機たちの重量は、ついに2tへ達そうとする中で、試験機の中で最終形態のArt 28 M-2の重量は、徹底した重量の削減により、僅か1tにも満たない。極限まで出力重量比の改善を行った発動機のリヨンKM型のレイアウトは、空冷倒立V型12気筒にまとまった。離昇出力は482馬力を示し、前面投影面積の削減の結果、全長が前後に32cm伸びたが、原型のリヨンV型よりも85kgもの驚くべき軽量化を達成しており、その形状は原型を留めていない。最高速度試験の結果、最高速度は532km/hを記録、晴れてArt 28 M-2は"水上高速研究機"から、正式な"レース機"となり、名前は最高速度から由来して"Aerhrge 532 ��"と名付けられた。愛称はウーラガン（ハリケーンの意）。アイボリーホワイトとスカイブルーの鮮やかなツートンカラーで世間にその存在を知らしめた。当然、フロートを排し、水中翼を持ったこの奇妙な外見から、この機体が世界中の大きな注目を集めぬ筈もなく、各国の新聞社からの取材がアエルール・シミュルゾンテ社に殺到した。しかし、Aerhrge 532 �垢�完成したのは、丁度1928年度のボンチュール杯が終了してから半年が経った頃で、まだまだ次の1929年度に向けて更なる改良を施す猶予が残されていた。
Aerhrge 532 �垢鮃垢覆觜眄�能機に仕立て上げるべく、その鮮やかなツートンカラーのベールを脱いだ。デルタ合板とジュラルミンが露出した機体表面は、抗力削減のために精巧に磨きあげられ、フェノール樹脂のオレンジ色とジュラルミンのシルバーが眩く輝く新しい姿に生まれ変わった。この姿は、機体表面の塗装すらデッドウェイトと見なし、重量を削減したいという徹底した意志の表れでもあった。また、発動機のリヨンKM型には、さらにスーパーチャージャーが追加され、新たにリヨンKMR型として757馬力へとパワーアップした。（ただし、安全率ギリギリで設計されているこの発動機では、過給器を連続で使用するとエンジンが焼き付いてしまう恐れがある。）加えて、少しでも離着水を安全に行おうと、ウニヤン大公国の参加機体を参考にして、新たに格納式のペリスコープが追加された。この生まれ変わった姿には、新たに"Aerhrge 532 ��"の名前が与えられたが、ここで数字が"532のまま"であるのには理由がある。それは、Aerhrge 532 �困�改めて最高速度試験を行う前に、1929年度ボンチュール杯への参加が決定したためである。つまり、この1929年のボンチュール杯が、初めてAerhrge 532 �困虜嚢眤�度を試す場となったのだ。リヨンKMR型を搭載して、限定的とは言えど、757馬力もの怪力を手に入れたAerhrge 532 �困�、この場でどんな記録を刻むのかは、まだ誰にも分からない。 ただ、世界中から集まったたくさんの観衆と、広大な青い水平線の彼方だけが、精巧に磨かれて光を放つAerhrge 532 �� ウーラガンの出走を待つのみであった。
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